老朽化に伴う保育園の新築の計画です。
「向こう側」が折り重なって広がってくようなワンルームの保育空間を計画しました。
保育園では、園児用のトイレ、もくよく室、調乳室、アルコーブが、それぞれ園児の目線を切りながらも大人の保育士さんの目線は通るように計画することが必要です。そうした部屋と倉庫を、用途や使用する園児の年齢に応じて、平面的な大きさと壁の高さを設定し、２部屋1組で保育室と保育室の間に配置していきました。2部屋1組のボリュームの間に三方枠を挟んで、保育室と保育室はそこを通じて繋がります。トイレや倉庫とその間の枠の幅、奥行き、高さが少しずつ変わりながら、奥へ奥へと連なっていきます。そうすることで保育室はそれぞれ独立した空間として機能しながらも、向こう側へとつながっていくような広がりをもった空間となります。区切れているけれど続いてくようなワンルーム空間です。折り重なる方向は様々で、場所ごとに表情が変わっていきます。
そうした空間の折り重なりは景色豊かな屋外へと発散していって、屋内が屋外へ広がっていくような、はたまた屋外が屋内と一体となって風景をつくるような、外と内が仲良く手を取り合う建築です。
この空間ののびやかさを肌で感じながら、園児のみなさんが健やかに育っていってもらえたらと願っています。