木造3 階建ての住宅の一階部分を改修する計画です。
空気をまとったようなワンルーム空間を考えました。
改修において広い空間を設けようとすると、元々の空間の特徴や佇まいとなっている壁や梁が複雑に登場することがあります。そういうものを空気のように自然なものとして空間に取り入れることを考えました。
具体的には、まず凸凹に配置された壁に色をつけました。これは空間の形状を整理するだけでなく、複雑さを一旦増幅して認識しやすくすることを意図しています。この環境に対して透過性のあるカーテンをぐるりとかけます。カーテン裏の壁との隙間や奥行き、背景の色、窓の有無といった空間を取り巻く様々な環境が、昇華され空気となって包み込むような空間を目指しました。一様な壁に対して透過性のあるカーテンをかけると均質な空間となりますが、背景に複雑さや距離感を与えることで、適度な多様性を含んだ空間となるよう心掛けました。
この空間の多様性には、改修前の佇まいが確かに潜んでいます。新しくもその佇まいに囲まれながら、時を積み重ねていってもらえたらと思います。